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執筆者の写真Hideki Kobayashi

「母うずら」という学研の教材映画のご紹介

 ウズラが登場する文学作品の中で、イワン・ツルゲーネフ原作の「母うずら」という作品があります。イワン・ツルゲーネフは、ロシア帝国における地主貴族の次男として、1818年に生まれました。フョードル・ドストエフスキー、レフ・トルストイと並ぶ、19世紀ロシアの代表的な文豪です。代表作品に「猟人日記」や「余計者の日記」、「父と子」などがあります。有名な作品が多いので、ツルゲーネフの本を読んだ方も多いかと思います。ツルゲーネフの作品の中で、アニメ化されている作品が「母うずら」です。「母うずら」は小学校や中学校で使用される13分間の道徳教材アニメです。かなり昔の作品なので、現在では利用されていないかもしれません。

「母うずら」は道徳用教材アニメです
「母うずら」は道徳用教材アニメです

「母うずら」のあらすじ

 

 ある日、ツルゲーネフは孫と一緒に街に出かけます。その途中で、ツルゲーネフは友人に狩りに誘われます。しかし、ツルゲーネフは友人の誘いを断りました。孫が不思議に思っていると、ツルゲーネフはその理由を話しました。


 ツルゲーネフは少年時代、父と狩りに行くことが好きでした。父が野鳥を猟銃で仕留めると、ツルゲーネフは興奮して大喜びでした。ある日、草むらでうずらを見つけました。うずらは飛び立ったり、着地したりして傷ついた様子でした。一緒に連れていた猟犬が飛びついて、このうずらを捕獲しました。「ヒナのいる巣が近くにあり、母うずらは猟犬の気を引いて巣から遠ざけるために、傷ついた演技をしていた。」と父は言いました。母うずらがヒナの為に命を懸けて、振る舞っていたことにツルゲーネフは心を打たれました。結局、母うずらは死んでしまいますが、ツルゲーネフは父から母うずらの遺体を貰い、墓を作って弔いました。その後、父はうずらを撃たなくましたが、ツルゲーネフは二度と狩りに行かなくなりました。


 この話の母うずらの振る舞いは、野鳥では良く行われます。NHKの番組「ダーウィンが来た」でも時折取り上げられます。親が子を思うことは、鳥も人間も変わりません。人間でも、子を助けるために、時には川に飛び込み、時には火事の中に突入する親も居ます。これらの行いは全て親が子を守ろうとする愛の結果です。しかし、時にはこれらの行動が否定的に報道され、悲しく思うこともあります。

昔の作品なので、絵柄も真面目です。
昔の作品なので、絵柄も真面目です。

ヒメウズラの孵化は命の大切さを学ぶ機会になるかもしれません

 

 「母うずら」の作品の中では、ツルゲーネフは少年時代に命の大切さを実感します。また、親が子を思う気持ちも理解します。一方、現代の子供達はどうでしょうか?命の大切さを実体験として学ぶ機会はあるのでしょうか?スマートフォンやゲーム機の中では、平然と動物や人を殺すゲームが横行しています。小中学生の間で人気のゲーム「フォートナイト」では、プレイヤー同士が戦うバトルロイヤルモードもあります。もちろん、大人なら「ゲームはゲーム」として、割り切って考えられますが、子供達はどうでしょうか?「死」のイメージが軽くなってしまわないでしょうか?ツルゲーネフ少年のように、母うずらの行動と結果を悲しんでくれるでしょうか?是非、生き物の誕生と成長の喜び、愛着を子供達には体験して欲しいと思います。




 

 

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