一時期、「うずらちゃんのかくれんぼ」という絵本が話題に上りました。ホームビデオで愛子さまがこの絵本を楽しんでいる姿が公開されたことが理由でした。実際、中身は幼児向けで楽しいお話になっています。絵も落ち着いた色合いで、描かれているウズラの姿は、特徴を捉えられていて、ウズラっぽくなっています。同じく描かれているヒヨコは、ちょっとヒヨコっぽくないですね。ヒヨコはもっとずんぐりむっくりしていると思います。さて、うずらが小説や絵本に取り上げられることは、非常に珍しく、あまりお話として登場することはありません。しかし、古来日本ではうずらは身近な鳥で、古今和歌集にも歌われていました。
「野とならば うづらとなきて 年はへむ かりにだにやは 君がこざらむ」
現代語訳は「あなたがいらっしゃらなくなってここが荒れた野となるのなら、私はウズラになって泣き悲しんで年を過ごしましょう、そうすれば狩りのついでに仮にでも、あなたがいらっしゃらないことはないでしょうから」です。
うずらの扱いが少々物悲しいのですが、それでも身近な鳥であることがわかります。しかし、今の日本で野生のうずらを見ることは稀でしょう。少し寂しいので、「うずらちゃんのかくれんぼ」以外にうずらやヒメウズラ、コリンウズラについて書かれている書籍や絵本を探してみました。
「うずらのうーちゃんの話」(かつや かおり 著)
小学校低学年―中学年向けの絵本です。絵本と言っても、小学生向けなので、挿絵と言う印象です。うずらの生態が良く観察されていて、作者のうずら好きなことがわかります。小学生向けなので、大人は楽しめない文章かもしれません。しかしうずらを飼育されている方は、共通体験から、思わず「そうそう」と漏らしてしまう内容です。
「うずらちゃんのたからもの」(きもと ももこ 著)
前述の「うずらちゃんのかくれんぼ」の続編に当たり、同じ作者が描いた絵本です。今回もお友達のひよこちゃんと冒険します。前作が気に入った子供なら、同じく気に入ってくれるでしょう。
「姫うずら飼育日記」(山本マサユキ 著)
珍しいヒメウズラの本です。しかもコミックで楽しめます。筆者の飼育体験を元にして、ヒメウズラの飼育に関する情報がたくさん載っています。これからヒメウズラの飼育を考えている人から、既にヒメウズラを飼育している方まで、楽しめる内容です。ご一読をお勧めします。
「うずらのじかん1-3」(マツダ ユカ 著)
鳥類の研究所で飼育されているうずらを描いたコミックです。うずらのうっずー君とのほのぼのとした日常が描かれています。読んでいるとうずらの飼育もしてみたいと思わせる楽しいマンガです。うずらの生態が良く描かれていて、うずらを飼育している方なら、共感できる部分も多いと思います。
「うずらのロバート」(マーガレット A. ステンジャー著)
当ブログで何回か紹介していますが、コリンウズラの飼育日記です。小学生から大人まで楽しめる文体と内容です。コリンウズラってどんな鳥?と思った方は、是非手に取ってください。蔵書している図書館もあります。ちなみにロバートという名前ですが、登場するコリンウズラはメスです。
「うずら大名」(畠中 恵 著)
最後は時代小説です。時は江戸時代、うずら(佐久夜)を飼っているご隠居した大名と泣き虫の豪農と江戸幕府転覆を目論む陰謀に挑んでいくお話です。ちなみにうずらも活躍(?)します。うずらの鳴き声が「ご吉兆(ゴキッチョー)」と聞こえることも書かれています。かつて、うずらはその鳴き声から福を呼ぶ吉鳥として、重宝されていました。うずらが出てくるだけでなく、物語としても面白いので、オススメできる本です。
今のところ、ペットとしてのウズラ飼育方法などが記載された本は見つかっていません。紹介した本は、うずらやヒメウズラ、コリンウズラを飼育している方なら、楽しんでいただけると思います。また、飼育してみようかなと思われる方は、是非ご一読ください。なお、うずらを飼育する場合、飼養報告義務があります。年に一度、担当部署に飼育している数を報告しなければなりません。ヒメウズラ・コリンウズラは、飼養報告義務はありません。時々、担当部署が間違えて、ヒメウズラ・コリンウズラでも報告するように言われるかもしれません。法律上は紋様の付いた卵を産む並うずらが対象です。
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