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執筆者の写真Hideki Kobayashi

ウズラの名前が入っている草花

 古来、ウズラは身近な鳥でした。スズメほどではありませんが、人の生活に密接に関わり、日常的に見かける鳥でした。残念ながら、現在では野生のウズラは希少種となってしまいました。環境省のレッドリストによると、野生のウズラは絶滅危惧II類(VU)、「絶滅の危機が増大している種」に分類されています。色々な環境破壊が連鎖的に弱い種にストレスを与えているのだと思います。地球温暖化による異常気象も、その原因の一つかもしれません。少し前に流行った「少しずつ変化する絵のクイズ」のように、植物などの植生が日常的に変 わっていることに気が付けないのかもしれません。それでも、昔は身近な鳥だったウズラは、その形態から草花の名前に入れられたことがあったようです。

 


ミヤマウズラは鳥では無く山野草です。
ミヤマウズラは鳥では無く山野草です。

日本自生のラン、「ミヤマウズラ」

 

 漢字で書くと「深山鶉」となります。単に名前だけ聞くと、ウズラの一種のように聞こえます。実際、「ミフウズラ」というウズラに似た鳥がいるので、「ミヤマウズラ」という鳥が居るのではないかと思ってしまいます。ミヤマウズラは、日本の自生のランです。主に山地で見られ、人里近い山林でも見られます。茎は地を這い、節ごとに地面に根を張ります。葉は、長さ2-4cm、幅1-2.5cmの先のとがった卵形で、地面近くに互い違いに着きます。葉は濃緑色の地に白い網目状の斑が入り、この様子がウズラの羽の模様に似ていることが名前の由来となっているそうです。8月から9月に小さな薄ピンク色の花が咲き、7-12個の小花が一列に、一方向を向いて咲くそうです。花自体も鳥が羽を広げたような形状をしています。夏のハイキングで山道を歩く機会がございましたら、出会えるかもしれません。ただ、群馬県と東京都では、絶滅危惧種IB類に指定されているため、ミヤマウズラに出会えないかもしれません。

 

セリ科の薬用植物「鶉草(ウズラグサ)」

 

 鶉草は薬用植物「血止草」の別名です。チドメグサといっても、日本ではあちらこちらに見かける雑草の一つです。実際に、チドメグサの生葉を揉んで、切り傷に使うと収斂作用(しゅうれんさよう)により止血できるそうです。また、葉を洗浄後、乾燥して生薬のように利用できるそうです。

なぜ、チドメグサが鶉草という別名があるのか?というと、虎明本狂言という室町時代から江戸初期にかけて行われていた「狂言の祖本」に起源があります。この虎明本狂言の中に出てくる、以下の文言が元になっています。

 

「まづわごりょのかみはいたののしばのうづらぐさのやうなるかしらにて」

 

 日本では、古くからウズラが身近にいて、親しまれていたことが伺えるエピソードですね。もっとも、家禽ウズラも日本のウズラの一種なので、野生のウズラが保護されているとも言えるかもしれません。

 





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