前回、少しお話ししましたが、紋様のある卵を産む並ウズラを1羽でも飼育している場合、家畜伝染病予防法の対象となります。家禽用の並ウズラの他、ヨーロッパウズラも対象となります。そのため、年一回の飼養状況報告書の提出が必要となります。これは、以前改正された時と同様です。しかし、飼養衛生管理基準の改正により、ニワトリ、並ウズラ、アヒル、キジ、ダチョウ、ホロホロ鳥、七面鳥を飼育している人は、「飼養衛生管理者」の選任が義務付けられました。例え1羽でも前述の家禽類を飼育している方は、目的がペットや研究用、展示用であっても、飼養衛生管理者の選任が必要です。なお、飼養衛生管理者はペットの飼い主が、そのまま自分を選任できます。また特別な資格は必要ありません。飼養衛生管理者には、登録され住所やメールアドレスに、感染症情報が送られてくるそうです。
飼養衛生管理者となると、3つの業務を行う必要があります。
飼養衛生管理者の業務は、以下の3つです。
1)衛生管理区域に出入りする者の管理(チェック・指導等)
2)衛生管理区域の従業員への飼養衛生管理基準の周知・教育等
3)国・都道府県から共有される家畜衛生に関する情報を踏まえた対応
ペットとして飼育している場合、多くても20羽以下の方が、ほとんどだと思います。少数の場合、ほとんどの都道府県では前述の飼養状況報告書のみ提出すればOKです。しかし、ダチョウを10匹以上、その他の家禽類合計100羽以上飼育されている場合、さらに「飼養衛生管理基準の遵守状況及び遵守するための措置の実施状況」を提出する必要が
あります。
ここで問題は、「衛生管理区域」の設定です。多くの方は、うずらを飼育ケージや小屋で育てていると思います。時々、ウズラやにわとり達を庭先や部屋の中に放すこともあるでしょう。だから、衛生管理区域を住所のまま、記載してしまうと、大変なことになります。というのも、「衛生管理区域」内では出入りする人のチェックや消毒が義務付けられています。さらに衛生管理区域内でのペットの飼育は禁止となっています。そのため、一緒に犬や猫、インコやヒメウズラを飼育することができません。衛生管理区域は、ケージ内や小屋としておきましょう。
ペット飼育の際、飼養衛生管理者は具体的に何をすればよいのでしょう?
今回の改正は、主に鳥インフルエンザ対策であり、養鶏業者らに対する衛生管理が目的でした。その際、小規模の養鶏を行っている人にも衛生管理や防疫体制を整えて欲しいという面が大きいと思います。だから、ペットとして飼育している人に対する配慮はありません。では、ウズラやニワトリをペットとして飼育する上で、飼養衛生管理者の業務とは具体的に何でしょうか?以下の事が挙げられています。
1,日常の飼育管理の徹底
毎日、鳥を観察し、飼育小屋やその周辺を清潔に保つ。
世話をした後は、手洗いやうがいをする。
他の養鶏場やペット仲間の飼育場への立入は自粛する。
2,野鳥等と接触させない
小屋に金網や防鳥ネット(2cm角以下)を張り、隙間を塞ぐ。
餌や水は小屋の中に置き、餌が小屋の周辺に散乱しないようにする。
衛生的な水道水や井戸水を与える。
小屋のそばに野鳥や野生動物が好む実のなる樹木を植えることを避ける。
3,ウィルスを持ち込まない
世話をするときは、専用の履物、衣服を身につける。
飼育場所の出入口に、踏込消毒槽やアルコ-ルスプレ-などを設置し、出入の時に履物、衣服、手を消毒する。
以上の事がペット飼育における飼養衛生管理者の業務となるでしょう。ただ、地方自治体によって、対応が異なる場合があるので、詳しくは地元の畜産課や農林水産部にお問い合わせください。ちなみに、飼養衛生管理者が飼養状況報告書等で未記載や虚偽の申告を行うと50万円以下の過料が科される場合があります。
ペットとして飼育するなら、コリンウズラやヒメウズラが良いです。
これまで説明してきたように、家禽ウズラの飼育は結構な手続きが必要です。そこで、ペットとして飼育する場合、コリンウズラやヒメウズラをお勧めします。コリンウズラやヒメウズラは、家畜伝染病予防法の対象種ではありません。ニワトリの場合、チャボや烏骨鶏、白色レグホンなど、様々な品種がいますが、全て“Gallus gallus domestic”という同じ学名です。つまり、生物学的には同一種であり、いかなるニワトリも家畜伝染病予防法の対象です。一方、コリンウズラとヒメウズラの学名は、それぞれ”Colinus virginianus”と”Coturnix chinensis”であり、家禽ウズラの”Coturnix japonica”とは違います。そのため、家畜伝染病予防法の対象とはならないのです。「うずら」という名称は、「うずらのような鳥」の俗称なのかもしれません。
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