アメリカの養鶏業者が、最近考案・試行した孵化方法に、「乾式孵化法」があります。今回は、「乾式孵化法」についてお話したいと思います。最初、乾式孵化法はニワトリの孵化で行われていました。ウズラ類でも試した人が居て、ウズラ類でも孵化の成績が良かったそうです。一方、コールダックの孵化は高い湿度が要求されるため、乾式孵化法は使わない方が良いとされています。新しい方法なので、試行錯誤が行われています。
孵化の失敗は高い湿度が原因という考えから、「乾式孵化法」が考案されました。
一般に、ニワトリやウズラ類を孵化する場合、孵卵器に水を入れて、湿度が45-50%になるように調整します。ニワトリの乾式孵化法では水を全く入れないか、少量の水を入れて、湿度を15-30%に調整します。そのまま孵化予定日の3日前(18日間)まで転卵しながら、37.5-38℃で温めます。残りの3日間は、転卵を止めて、水を加えて湿度60-65%で温めます。湿度設定が転卵停止まで低く設定されているだけで、最後の3日間は、これまでの孵化条件と変わりません。乾式孵化法の考案者は、高すぎる湿度が孵化に悪影響を与えていると考えました。湿度が低い場合、卵の13%に当たる水分が蒸発するそうです。この13%分を補うだけの湿度があれば、良いと考案者は考えました。そこで、15-30%の湿度が設定されました。他の養鶏業者に乾式孵化法を試してもらった所、孵化率が良くなった人もいましたが、変わらなかった、悪くなったという人も居たそうです。
ウズラ類(コリンウズラ・ヒメウズラ・並ウズラ)の乾式孵化法
ニワトリの乾式孵化法では設定湿度が15-30%ですが、ウズラ類では少しだけ違います。並ウズラ・コリンウズラ・ヒメウズラなどのウズラ類の孵化の場合、設定湿度は30%です。あまり低すぎない方が良いようです。湿度を調整するため、湿度計は必須です。私は乾式孵化法を試したことはありませんが、お客様の中で、コリンウズラの孵化を乾式孵化法で試したことがある方がいました。残念ながら、孵化は成功しなかったというご報告を頂きました。ウズラ類でもニワトリと同様に、乾式孵化法が成功する人としない人がいるようです。ただし、コリンウズラの孵化では、高すぎる湿度は致命的です。乾式孵化法の湿度30%に下げなくても、45%くらいを心掛けた方が良いと思います。
自分に合った孵化法で孵化を行いましょう。
養鶏業者や養鶉業者でもない限り、従来法で孵化が成功されている方は、あえて乾式孵化法を試す必要はありません。ただ、なかなか孵化が成功しない方、孵化率を上げたい方は、乾式孵化法を試してみても良いと思います。ニワトリの孵化と同様、孵卵器を置いてある室温と湿度などの環境に影響されるようです。乾式孵化法は、あまり例が無いので自己流となってしまいますが、従来の孵化方法で孵化率が低い方は、一考に値すると思います。自分の環境に合った孵化方法を選びましょう。
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