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執筆者の写真Hideki Kobayashi

コリンウズラ・ヒメウズラなど鳥の卵詰まりの予防と対処方法

更新日:2023年3月29日


並ウズラ、コリンウズラ、ヒメウズラの卵
並ウズラ、コリンウズラ、ヒメウズラの卵

 先日、お客様からのご報告の中で、卵詰まりでコリンウズラが亡くなったというご報告を頂きました。残念ながら、卵詰まりはウズラ類だけでなく、ニワトリを始めインコなど多くの鳥類に共通する死因の一つです。細菌やウイルスなどが原因では無く、日常の世話や餌が原因である可能性が高い病気です。そして、多くは鳥が若い時期に散見される問題です。飼育方法や日常的な世話を注意すれば、卵詰まりの問題はある程度回避できます。今回は、卵詰まりの予防と対処方法をご紹介します。卵詰まりで死亡する鳥が一羽でも少なくなれば幸いです。


卵詰まりの原因の一つは摂水不足とカルシウム不足、日光浴不足です。


 水入れに水が少ない場合や、水入れへのアクセスが悪く、上手く水が飲めない場合、ウズラ達は摂水不足となります。糞などの汚れを気にして、高い所に水入れを置くと、摂水不足となる可能性があります。また多くのウズラ達を一つのケージで飼育している場合も摂水不足になりがちです。注意して下さい。


 普通のウズラ用エサには、十分なカルシウムが添加されていると記載されています。それでも、メスにとっては少ない含有量です。別途ボレー粉を足してあげましょう。必ず吸収できるとは限らないからです。カルシウムの吸収には、日光浴でウズラの体内で作られるビタミンDが必要です。室内で飼育する場合、日光が不足して十分なビタミンDが作られていない可能性もあります。ビタミンDは、日光の中の紫外線で生成されるので、日光浴が出来ない場合、紫外線ライトを当ててあげましょう。紫外線ライトなんて簡単に手に入らないと思っている方は、100円均一のダイソーに行きましょう。ダイソーの文房具売り場で販売されている「マジックライトペン」も紫外線ライトが着いています。カルシウムは卵子に硬い殻を作り、子宮の収縮がその卵子を押し出すためにとても大切です.


成長期の長時間照明は避けましょう。


 照明を長時間つけていると、ウズラ類の産卵が促進されることが知られています。しかし、コリンウズラは季節産卵の鳥です。その体は繁殖期以外に産卵するように出来ていません。特に若い成長期で長い時間照明を当てていると、通常よりも早く産卵する可能性があります。体がまだ完全に成長していない場合、卵を押し出す力が弱く、卵が動かなくなる危険性があります。


卵詰まりの個体を早期に発見して、隔離しましょう。


 一般に、卵詰まりが起きたウズラやニワトリは、丸まって歩けません。排便も出来ず、首を引っ込めています。そのような個体を発見したら、簡単な検査を行いましょう。薄いゴム手袋を装着して、ワセリンやKYゼリーを小指に塗りましょう。ワセリンやKYゼリーはウズラやニワトリのお尻にある総排泄腔に塗り、小指をそっと入れます。第一関節まで入れてみて、卵を感じられない場合は、卵詰まりではありません。卵があった場合、卵詰まりが起きています。卵詰まりが起きると、鳥は排便できなくなったり、脱子宮したりします(子宮が押し出される現象)。早めに発見して、他の鳥から隔離しましょう。


卵詰まりの解消方法


 卵詰まりの解消は、やはり鳥にストレスを与えてしまいます。できるだけ温和な方法から試しましょう。以下の手順をお勧めします。


1、胎内の卵と総排泄腔の内側をワセリンやKYゼリーで潤滑する。

2、卵詰まりの個体を温浴する。温浴は筋肉を緩ませて、産卵を促します。

3、最後の手段、卵の強制取り出しを行う。


 1の潤滑で、多くの場合卵が出てきます。それでも出て来ない場合、2の温浴を試しましょう。温浴はウズラやニワトリが立った時、体の下半分が漬かるくらい深さで行います。温度は40℃程度です。個体を用意した浴槽に入れた後、お湯を少しずつ、下半分が漬かる程度まで入れます。大体10-15分間入浴した後、タオルで良く拭き、ドライヤーで乾かしてあげましょう。決して体が湯冷めしないように注意しましょう。温浴を終えた個体は、薄暗い所で30分から1時間様子を見ましょう。多くの場合、もし温浴した時、ウズラやニワトリがパニックになった場合、両手で包むように抱いてあげましょう。


 それでも卵が出て来ない場合、外科的な取り出しが必要となるでしょう。ただし、ここまで卵が出て来ない場合、総排泄口腔内で何らかの炎症が起きて、腫れている可能性があります。腫れていると、外科的な取り出しを行った際、卵が割れて中に残る危険があります。内部で割れた場合、残った卵の中身から感染症にかかる危険が非常に高くなります。そのため、外科的な取り出しを行う前に、炎症を抑える必要があります。一般に市販されている痔の治療用軟膏を総排泄腔に少しだけ注入します。これで30分から1時間様子を見た後、卵の外科的な取り出しを行います。この時、卵が出てくることもあります。


卵の外科的な取り出し方法


これは危険が伴う作業です。可能であれば、獣医さんに依頼しましょう。獣医さんでも断られてしまったり、他に手段がなかったりした場合、自分で行うことも選択肢の一つです。自分で卵の取り出しを行う場合、卵に穴を開けるためのドリルと注射器、針金を準備する必要があります。注射器は100円均一で販売されている化粧品用のシリンジで良いでしょう。なお、一人では絶対にできません。必ずもう一人、ウズラやニワトリを固定してくれる補助をお願いできる人を探しましょう。


 総排泄腔から卵が見えている場合、ドリルの先端を卵に付けて、穴を開けます。ドリルビットは2―3mm位が良いです。穴が開いた後、注射器で卵の中身を取り出します。最後に折り曲げて「返し」を作った針金を穴に入れて、引っ張って卵の殻を取り出します。ドリルを使う時は、くれぐれも体を傷つけないように注意して下さい。ドリルの音で鳥が驚くので、固定する人にしっかりと保持をお願いしましょう。


 総排泄腔から卵が見えていない場合、もう一つ準備する物があります。内径6―8mm程度のステンレス管です。ステンレス管の長さは卵の位置やドリルビットの長さから決めて下さい。ステンレス管を総排泄腔に挿入して、卵に付けた後、ドリルを当てて穴を開けます。ドリルで穴を開けた後は、卵が見えている場合と同様です。ただ見えにくいので、ライトを当てて中が見えるようにしましょう。なお、ステンレス管を外すのは、針金を卵に掛けた後です。総排泄腔内部が傷つくことは絶対に避けましょう。


 卵を取り出したら、静かな場所で数時間または一晩休ませましょう。食べたり、飲んだり、歩いたりする行動が見られたら、群れに戻ることができます。個体が十分乾いていて、総排泄腔に異常が見られないことを確認しておきましょう。群れに戻した後も他のウズラまたはニワトリが攻撃していないか、よく観察しましょう。特にオスは要注意です。


 卵詰まりの予防は、カルシウムの摂取と適切で規則正しい照明です。カルシウムの摂取は日常的なエサだけでなく、ヨーグルトなどを与えると良いとされています。日光浴も忘れないよう注意しましょう。家の中や近くでウズラやニワトリを飼育している場合、予期せず照明を長時間当てている場合があります。しっかりと眠る時間を与え、鳥が緊張しない、ゆったりとした時間を過ごせるようにしましょう。






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