ウズラのエサはタンパク質含量が高いことは常識になっています。ウズラが家禽であり、卵を産むことから、エサのタンパク質含量は24%と高く設定されています。同じ家禽でも、ニワトリの餌のタンパク質含量は17-20%となっています。ニワトリもウズラも卵を1日1個産むため、ウズラのエサのタンパク質含量が、ニワトリより高いことは少し不自然のように思えます。今回は、ウズラのエサのタンパク質含量について学術論文をご紹介したいと思います。ご紹介する論文は以下の通りです。
E. A. Ashour et al. Effect of different energy, protein levels and their interaction on productive performance, egg quality, digestibility coefficient of laying Japanese quails Poultry Science, 103:103170 (2024)
1908年に設立されたアメリカ家禽学会の学会誌に掲載された学術論文です。2024年に発表された論文なので、最新の研究結果となるでしょう。タイトルの日本語訳は「日本ウズラの産卵効率、卵の品質、消化効率における様々なカロリーとタンパク質含量、そしてその相関関係の影響」となるでしょう。つまり、与えるエサのタンパク質とカロリーを変えた場合、産卵や卵、ウズラの成長にどのような影響がでるのか、という論文です。論文の結論では、8-20週齢のウズラにおいて、タンパク質20%、総カロリー2900kcal/㎏が推奨される、とのことでした。ウズラは24%と高いタンパク質含量が必要とのことでしたが、実はそこまで必要ないのかもしれません。論文の内容をもう少し詳しくご紹介しますが、難しいと感じましたら、読み飛ばして下さい。なお、生後8週目までは、高タンパク質含量のウズラ用エサが推奨されています。
この論文の実験内容
生後8週目の日本ウズラを216羽について、タンパク質含量を18,20,22%に調整された餌について、カロリーもそれぞれ2800,2900,3000kcalに調整して与えました。つまり、例えばタンパク質含量18%のエサについて、2800、2900、3000kcalに調整した3種類のエサを与えたということです。20週まで飼育して、その間の体重の増減、卵を産む頻度、卵の重さなどが測定されました。その結果、体重については、2800kcalのエサを与えたウズラの体重が200gから190gに減少しました。卵を産む頻度は、それぞれ一日約0.66から0.69個と差は認められませんでした。2900kcalのエサを与えたウズラが産む卵が11.7gと最も重いことが分かりました。
タンパク質含量で比較した場合、ウズラの体重に大きな変化は認められませんでした。卵を産む回数は、タンパク質含量20%のグループが1日0.69個と最も多く、次いで22%のグループが多いという結果でした。卵の重さも20%のグループが最も重く、次いで18%のグループが重かったという結果でした。意外な事に、タンパク質含量22%のグループは、最も軽い卵を産みました。
この論文では、エサの消化効率についても調べられていますが、ウズラのペット飼育では関係ないので、省略します。他の論文の結果も引用されていました。他の研究者が出した結論では、2900kcal、タンパク質含量21%が良いとされていました。この論文の結論である2900kcal、タンパク質含量20%とかなり近い値となっていました。つまり、タンパク質含量24%以上という従来のウズラ用エサは、無駄にタンパク質含量が多いということになります。養鶉業者のように、毎日必ず卵を採るのでなければ、タンパク質含量は24%まで高くする必要は無いのかもしれません。
ニワトリの餌を与える場合は、ウズラのエサと混ぜましょう。
ウズラ用のエサは、ニワトリ用のエサと比べて高価です。また、ペットショップやホームセンターでも、ニワトリ用のエサはあるけれど、ウズラ用エサは販売されていないことも多いです。ニワトリ用のエサで良いのでは?と考えて、ウズラに与えている方もいるでしょう。その場合、タンパク質含量と総カロリーについて、チェックしましょう。結構色々な種類があり、タンパク質含量も15%―17%と様々です。カインズホームやコメリなどでは、オリジナルのニワトリの餌を販売しています。それでもニワトリのエサのタンパク質含量は論文よりも低くなっています。タンパク質含量が24%のウズラのエサと適量混ぜることで、タンパク質含量を20%にすることが出来るでしょう。
ニワトリのエサのカロリーは総じて論文の2800kcalよりも低めです。実はウズラのエサのカロリーは、ニワトリのエサよりもやや低いので、代用する際に気にすることはないでしょう。一つ気になる点は、ニワトリのエサの方が大粒であることです。乳鉢やコーヒーミルなどで細かく擦ると良いでしょう。これはヒメウズラ、コリンウズラでも大きな差はないと思います。
ただし、ニワトリのエサを混ぜて何か健康上おかしな点が出てきたら、直ぐに止めましょう。
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