ヒメウズラやコリンウズラを複数飼育していると、ペアが出来て産卵を始めます。その様子を見ていると、「ペアが卵を温めて、ヒナが生まれる様子が見てみたい!」と思う方も多いと思います。しかし、ほとんどの場合ペアが卵を温めることはありません。稀にヒメウズラのペアが卵を温めることがありますが、長続きしないことが多いです。ヒメウズラの孵化に必要な日数は、17日間です。1週間程度で止めてしまうでしょう。では、どのようにすれば、自然孵化ができるのでしょうか?一般的な鳥の抱卵行動と孵化にヒントがあるかもしれません。
鳥は複数個の卵を同時に孵します。
親鳥はヒナが同時に孵った方が世話をしやすいことを知っています。そのため、卵の数が揃ってから温め始めます。ヒメウズラの場合、卵が3-6個程度で温めます。コリンウズラは4-12個と言われています。そのため、卵を1個産んでも温めません。2-3個産んでも親鳥は放置するでしょう。自然孵化を目指す場合、卵がある程度貯まるまで、気長に待ちましょう。
「卵を3つ産んだけど、放置して、抱卵しない」
と、諦めて卵を取り除くことは厳禁です。巣または巣の材料となる藁などを用意して、ヒメウズラがその気になってくれるまで待ちましょう。
なぜ、鳥は卵を温めるのでしょうか?
ヒメウズラやコリンウズラだけでなく、ほとんどの鳥たちは抱卵して卵を温めます。鳥たちが抱卵する理由が分かれば、ヒメウズラがなぜ飼育環境で抱卵しないのか、分かると思います。NHKの「チコちゃんに叱られる」という番組では、「卵が冷たくて気持ちが良いから抱卵する」と説明していました。親鳥は卵に対する「愛情」はない、とのことでした。これは一つの説であって、必ずしも絶対正しいとは限りません。例えば、親鳥は抱卵するとき、卵に熱が伝わるように、腹部の羽が抜けます。単に冷たいことが気持ち良いのであれば、わざわざ腹部の羽が抜けることは無いでしょう。羽が抜けた部分は「繁殖パッチ」と呼ばれています。繁殖パッチは、卵に直接触れて温めるだけでなく、常に温められるように血管が密に通っています。親鳥はヒナを孵すため、自分自身を変化させています。果たして、親鳥に「愛情」がないと言えるのでしょうか?自然孵化に挑戦される方は、ヒメウズラの腹部の羽を、観察してみてください。
抱卵しない鳥もいます。
鳥の仲間でも、まったく異なる方法で卵を孵すグループが 1 つあります。オーストラリアの近くで見られる megapodes (「大きな足」という意味です) と呼ばれるキジの仲間です。 Megapodes には、スクラブファウル、マリーファウル、ブラシターキーがいます。これらの鳥は卵をマウンド (土と葉の大きな山) に埋め、「自然」が親鳥の代わりに、孵化の仕事をします。太陽からの熱と植物の発酵が卵の発育を促進します。ヒナが孵化すると、穴を掘って外に出て、自力で生き延びて成長します。このような鳥がいることを考えると、やはり抱卵は親鳥の卵に対する愛情があるのだと感じます。
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