うずらやヒメウズラ、コリンウズラの有精卵の孵化を試みても、孵化しない場合があります。孵化しないことは大変残念ですが、自然界でも卵が孵化しない事はよくあります。野鳥の雀でも、卵の孵化率は6割前後です。また、家禽のニワトリやエミューも、交尾から産卵、孵化方法など厳重な管理を行っても、人工孵化率は6割前後です。ただし、あくまで確率論なので、有精卵10個を孵化させた場合、10個全て孵化することも、または1個しか孵化しない事もあり得ます。孵化しない原因は、2つ考えられます。一つは無精卵、もう一つは中止卵です。両方ともLEDライトを用いた検卵で、確かめることができます。
無精卵について
ウズラ類のメスは、卵輸管の近くに貯精嚢と言う器官を持っています。そのため、一回の交尾でも、体内に精子を保存し、受精率を高めることが可能です。それでも、無精卵は生まれてしまいます。ただし、購入した卵が全て無精卵である確率は、きわめて低いです。一つも孵化しない場合、その原因が全て無精卵だったということは、ほとんどありません。
中止卵について
中止卵は孵化が途中で止まってしまい、死んでしまった卵のことを指します。卵が孵化しない場合、ほとんどが中止卵という結果です。なぜ中止卵となってしまうのか、完全には解明されていません。いくつかの考えられる要因が挙げられています。
1孵卵器に入れる時期が遅い。
購入した卵を1週間放置した後に、孵卵器に入れるなど、孵化を始める時期が遅いと、中止卵になる危険性が増します。購入した卵は到着後、直ぐに孵化器に入れてください。
2孵化の温度に達するまで、時間がかかる。
卵が到着後、孵卵器に入れる前に孵卵器をセットしておいてください。卵を入れた後、孵卵器のスイッチを入れると、孵化する温度(37-38℃)に昇温するまで時間がかかります。このタイムラグが、中止卵の一因となります。
3転卵不十分
卵を孵化する際、転卵は必須です。特に孵化を始める1週間は、できるだけ数多く転卵をしましょう。ただし1時間に1回までが限界です。それ以上、頻繁に転卵を行うと中止卵になる危険性が増します。自動転卵装置付きの孵卵器でも、立ち上げ当初は、卵の位置などが悪く、転卵が上手く行っていないことがあります。転卵の様子を確認しておきましょう。必要ならば、手で転卵しておきましょう。
4頻繁な検卵
卵の孵化が順調に進んでいるか検卵する人は多いと思います。特に初めて孵化を試みる人は、毎日検卵してSNS発信しようと考える人もいるかもしれません。これは全くお勧めできません。検卵は、卵を孵卵器から取り出し、ライトを当てて内部をチェックして行います。この一連の操作は、意外と時間がかかり、卵の温度や湿度を変えてしまいます。その結果、中止卵となる可能性が高くなります。特に孵化を始めてから1週間、不安定な温度変化は禁物です。検卵は孵化開始から1週間は行わないで下さい。
他にも、冬場の低気温によって、孵卵器内部が設定温度まで上がっていない、などが中止卵の原因として挙げられます。孵卵器の中の実際の温度を、一度測定してみて下さい。そして、一番怖いのは、私自身も経験したことがあるのですが、
停電による孵化の中止です。
転卵は手動でも可能ですが、37℃に保つことはできませんでした。約8時間の停電後、復帰した孵卵器で孵化を継続しましたが、全て中止卵となっていました。停電は仕方ないとあきらめるしかありませんでした。しかし、ヒメウズラは17日間、コリンウズラは23-24日間、孵化に必要です。諦めるには、あまりに長い期間です。しかし、停電による孵卵器の停止を防ぐ機器がありました。現在USBモバイルバッテリーでも、家庭用電源と同じAC100Vを供給できる製品が販売されていました。停電対策にいかがいたしましょうか?
残念ながら、どんなに気を付けても孵化率が低いことがあります。逆に自動転卵装置に任せきりでも、孵化率が高いことがあります。自然が相手の場合、思い通りにならない事が数多くあります。それでも、適切な管理は行ったほうが、良い結果につながります。可愛いウズラ達のヒナに出会うため、温度と湿度を管理し、適切な転卵を行うことが大切です。
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