根が正常に成長するか否かは、根に悪い物質が土にあるか否かです。
- Hideki Kobayashi
- 3月19日
- 読了時間: 3分
発根や根の伸長は、植物の体内の生化学反応です。オーキシンという植物ホルモンが深く関与し、発根や根の伸長を促進しています。オーキシンは茎の先端部で作られて、植物の体内で根を含めて、様々な部位に輸送されます。オーキシンはいくつかの化合物があり、主にトリプトファンというアミノ酸から合成されます。前回もお話しましたが、根から吸収できる栄養素は、無機塩類だけです。だから、「根を刺激する」や「発根を活発にする」などの文言で、根の成長を誇大広告する植物栄養剤などは、絶対に信じないようにしましょう。

オーキシンやアミノ酸を土に撒くことは、発根に有効でしょうか?
根はオーキシンや原料となるアミノ酸類なども吸収できます。これらは積極的に吸収しているのではなく、根の中に入ってきてしまうという方が正しいでしょう。そもそも、土の中にオーキシンやアミノ酸はめったにありません。一見、これらの物質を吸収して、根で効果を発揮すれば、発根が良くなると思われるかもしれません。しかし、これらは濃度が問題です。オーキシンやアミノ酸は濃度が濃い場合、発根や根の伸長を抑制することが研究から分かっています。また濃度が薄い場合、土の微生物に分解・消費されて、植物の根に届きません。実験室のように、オーキシンやアミノ酸の濃度を完全に制御出来たとき、初めて効果を発揮することでしょう。だから、これらを土に撒いても植物にとって良い事は全くありません。
発根や根の伸長は、それを妨げる物質があるか否かで決まります。
発根や根の伸長反応に影響する要因は、やはり根から吸収される無機塩類です。その1つがアルミニウムイオンです。アルミニウムイオンは、土に大量に含まれています。中学校や高校の理科で、「クラーク数」という言葉が出てきます。現在、クラーク数という名称は使われていませんが、地表近くの元素の割合を重量パーセント濃度で示した数です。クラーク数によると、1位酸素、2位ケイ素、3位アルミニウムとなっています。酸素は空気中にあるだけでなく、鉱物が全て酸化ケイ素を含んでいるので、結果として1位となりました。またケイ素は地表の鉱物の主成分が酸化ケイ素なので、2位となりました。3位のアルミニウムは意外に思う方もいるでしょう。土に含まれる粘土鉱物はアルミノシリケイトと呼ばれ、土壌に多く含まれています。その結果、アルミニウムが3位となりました。
アルミニウムイオンは、植物の根に悪影響を与え、発根や根の伸長を妨げます。これは、酸性雨研究の成果として、多くの研究者達が科学雑誌で論文発表しています。根が正常に成長しないと、十分な水分や肥料3要素を始め無機塩類の吸収量が低下します。結果として、光合成が上手く出来ず、植物の成長が悪くなります。光合成は光と二酸化炭素だけで出来る反応ではありません。多くの無機塩類や水が必要です。
アルミリムーバーは、土壌から遊離性アルミニウムイオンを除きます。
土壌に含まれる粘土鉱物のアルミニウムは、しっかりと鉱物の構造を支えるアルミニウムと、遊離しやすいアルミニウムがあります。この遊離しやすいアルミニウムは酸性雨により土が酸性化すると、土壌にアルミニウムイオンとして溶出されます。アルミリムーバーは、この遊離しやすいアルミニウムを、事前に取り除くことで酸性雨の悪影響を無くします。昨年の植物の成長や作物の収穫量に疑問がありましたら、是非アルミリムーバーを試してみて下さい。「酸性雨の影響って、こんなにあったのか!」と驚きますよ。
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