鳥類は脚に奇形が出ることが多いです。特に人工孵化を行った場合、その奇形頻度は高くなるようです。一つの要因は、転卵にあります。受精卵は孵化まで卵の中で卵割を行い、胚を形成して、ヒナになっていきます。この期間、卵の中で胚が卵殻に付着しないように、親鳥は脚を使って、卵を転がします。いわゆる転卵という行為です。胚が卵殻に付着すると、付着部位で、その後の細胞分裂や分化が異常を来たし、奇形のヒナが産まれてしまいます。これは、人工孵化の中でも起こります。多くの孵卵器では自動転卵装置が付属しています。孵卵器を使って人工孵化を行った場合、自動転卵装置が正常ならば、卵膜と胚が付着することはありません。ただし、自動転卵装置が正常でも、卵の大きさや形などから上手く転卵されていない場合があります。卵を購入された方は、いち早く孵化を始めたい方がほとんどかもしれません。孵化を開始する前に、孵卵器に卵をセットした後、転卵が正常なのかチェックしましょう。

自動転卵装置が無い孵卵器の場合、手動で転卵を行うことになります。手動転卵では、一般に4-6時間に1回、1/4回転させます。1日4回以上転卵することが望ましいとされています。手動転卵の良い点は、確実に転卵できるという点です。1/4回転できるように、卵に印を付けておきましょう。自動転卵装置の場合、卵が孵卵器の一部に引っ掛かったり、卵の位置が変わったりして上手く転卵できていないこともあるので、時々チェックしましょう。
脚は最も高く鳥の奇形が現れる部位です。
転卵中の事故や遺伝的要素を含めて、脚の奇形は鳥に最も良く現れます。他の部位に奇形が現れると、死んでしまうという点もあります。ヒナが産まれた時、正常に歩行しているか、チェックしましょう。また、ヒナの脚をチェックして、指の数や形を確認しておきましょう。酷い奇形の場合、立つことも出来ず、体を引きずりながら動いている事があります。
奇形のヒナが産まれた時、どうしますか?
奇形のヒナは、他のヒナと違い、動きが非常に悪くなります。その結果、エサや水が上手く摂れず、大きく成長する前に死んでしまうことが多々あります。また、奇形のヒナが上手くエサや水を何とか摂れたとしても、エサ入れや水入れを汚して飼育ケージ内を乱します。「困ったものだな」と感じることも多いでしょう。そんな時、奇形のヒナをどうしますか?大切に育てますか?それとも、処分しますか?個人の考え方にもよりますが、私は育てました。例え、長生きできなくても、生きることが出来る限り、生かしてあげたいと思うからです。もちろん自然界においては、奇形のヒナが生き残ることはありません。ヘビや猛禽、猫類に食べられて、直ぐに淘汰されるでしょう。その点を踏まえて、直ぐに処分する方も否定はしません。でも、せっかく生まれた命です。できるだけ生かして欲しいと思います。
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